エンバーミングについて

基礎知識

2021.10.23 エンバーミングについて

embalming

高根沢町・宇都宮市で一般葬・家族葬・一日葬・火葬式・直葬など幅広い規模のお葬式をお手伝いさせて頂いておりますセレモニー宝典です。
故人様のお体をお手当てさせていただくときに、「エンバーミングとは違うの?」というご質問をいただくことがございます。
そもそもエンバーミングとは何なのか、どういうものなのかが分からない方が多いかと思います。
今回は、エンバーミングについてをご説明させていただきます。最後までお読みいただければ幸いです。

エンバーミングとは?

エンバーミングとは、ご遺体の防腐や修復、感染防御を目的に行われる特殊な施術の事をいいます。
日本語では「遺体衛生保全」とも言います。そして、エンバーミングを施す専門のライセンスを持った技術者をエンバーマーと言います。
ご遺体からの感染症の予防として、土葬が主流のアメリカやカナダでは一般的にエンバーミングが行われています。日本では火葬率が99.9%なので、まだ馴染みのない言葉かもしれません。しかし、東日本大震災などの災害時には納棺師と共にエンバーマーも犠牲者の方の処置の為に被災地へ派遣をされています。
また、ご遺体の国際間の搬送についてですが、日本人が海外で亡くなったときに日本へ搬送する場合や、外国人が日本で亡くなったときにその国へ搬送をする場合に、エンバーミングによる防腐処置が必要となっています。
エンバーミングの基本料金については、IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)により15万~25万円と定められています。

エンバーミングの特徴について

〇防腐処置を行うことによって、葬儀の日程にゆとりを持つことができ、故人様とゆっくりとお別れすることが出来ます。
〇臭気や腐敗進行を抑えるので、安心してお体に触れることが出来ます。また、枕を並べてのお別れも可能です。
〇闘病生活で故人様のお顔がやつれてしまったり、事故等で損傷があっても、生前のお姿に近付けてお別れをすることが出来ます。

エンバーミングの処置は何をする?

エンバーミングの処置は、以下のことを行います。
1. 全身の洗浄と消毒をします
2. 表情を整えて、髭剃りなどの処置を行います
3. 小切開して、血管から体内の血液を排出し、防腐薬剤を注入します
4. 腹部から残存物を除去して、防腐薬剤を注入します
5. 必要な修復を行います
6. 再度、全身の洗浄を行います
7. お着替えをして、メイクを施します


処置時間は、標準的には3時間ほどになりますが、ご遺体の状態や修復の程度によっては処置にかかる時間が変わってきます。
エンバーミングを行うには、エンバーミングセンターという専用の施設へお連れしなければいけないので、エンバーミング前後の移動時間も必要になります。
通常は、お亡くなりになった方を式場やご自宅に安置する際には状態の変化を防ぐために、お体にドライアイスを当てて冷やさなければいけません。しかし、エンバーミングを施したご遺体は体の中から防腐処置をされているので、ドライアイスを当てる必要がなくなります。
施術の際に、血色を足す薬液も使用するので、死化粧とは違う内側からの血色感も出てきます。
また「エンゼルケア」というのは、病院の看護師や葬儀社が、ご遺体の清拭や含み綿やメイクなどでご遺体をきれいに整えることを指しますが、「エンバーミング」は、更に防腐や殺菌を施して遺体を衛生的に保存する期間を延ばす専門的な技術になるので、エンバーミングの資格保持者しか行うことができません。

エンバーミングの歴史について

エンバーミングの起源については、古代エジプトのミイラにまで遡ることができます。
古代エジプトでは、その土地で死んだ者は身分の上下にかかわらず、誰もがエンバーミング(遺体保存)しなければいけないという法律がありました。
その理由としては、宗教的には死者の魂は肉体にいずれ帰ってくるとされており、そのためには肉体が保存されていなければならないと信じられていました。また、ナイル川の氾濫に遺体が吞み込まれて伝染病が発生しないようにという衛生上の理由も上げられます。
古代エジプトのミイラは、防腐剤に樹脂(balm)を使用していたことから、embalmingの語源になったとされています。
やがてエンバーミングはヨーロッパに広まっていきました。そこでエンバーミングによって、細部までの解剖学的研究が可能になり、医学の発展に大きく貢献しました。
アメリカの南北戦争時代(1861~1865)には、戦死者を故郷に送り届けるための手段として、エンバーミングが盛んに行われました。
また戦争終結後に暗殺されたリンカーンもエンバーミングを施され、首都ワシントンから2600㎞離れた故郷のスプリングフィールドまでの葬送列車が走りました。これが、一般にエンバーミングを普及させる大きな効果となりました。
現在では、北米では80%以上、また世界各国においてもエンバーミングの処置がされるようになり、遺体の海外輸送、公衆衛生面での安全な保全のための処置として認知が広がっています。
日本では、1988年に国内初のエンバーミングセンターが埼玉県に開設されて以来、処置件数は年々増加しており、2020年では年間5万件以上となりました。
現在はIFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)がエンバーミングの自主基準を設け、日本国内でのエンバーマー養成学校を設立するなど、エンバーミングの普及や技術者であるエンバーマーの養成に向けて活動をしています。

いかがでしたでしょうか。
今回は、エンバーミングについてご説明させていただきました。
エンバーミングは、衛生的でゆっくりと故人様とのお別れの時間を取ることが出来るというメリットがありますが、お体に小切開を行うという点や、費用面、二親等以内のご遺族の反対があると施術は行えないという点などもございます。そういった内容を理解した上で、最後のお別れの方法として考えてみるのもいかがでしょうか。
セレモニー宝典では、ご家族様と打ち合わせをしたうえで、エンバーミングご希望される場合には、専門の会社へ依頼をいたします。
ご不明・ご不安な点はお気軽にご相談くださいませ。

セレモニー宝典では、お葬式や仏事や法要についてアドバイスさせて頂いております。お葬式のことならセレモニー宝典へお気軽にご相談ください。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
ご不明な点がございましたら、0120-16-4242までお問合せください。

荒井 貴大

取締役
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